授業概要
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実は狂気の発露であるのかも知れない文学作品、小説を奥底まで読んで人間観世界観涵養の一助と為す。そのやり方としては例えば、既に評価の定まった古典的な作品だけでなく、近年デビューした作者の、主に新人賞受賞作を読むことにより、今の人間の気持ちや考えがどのような形で文章に現れるか、今日日の世相が作者の目にどのように映っているか、などを探る。そのことを各自の、創造的な読み、に繋げる。そのことが実はどんな場合も創作の根底にあるという事を知ると同時に、知らず知らずのうちに文章も上手になっているようにする。
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知識・専門性の到達目標
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創作についての知識(文学理論および物語論など)を修得し、実践に適用し応用することができる。【基礎知識・専門能力】
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関心・態度・人格の到達目標
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さまざまな事象に興味関心を持ち、観察し、分析し、思考することによって創作のテーマを見出すことができる。【課題発見力・観察力、創造力、洞察力、他者理解】
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思考・判断の到達目標
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既存の作品を読み、関連文献を調べ、独自の視線で分析し思考し判断し批評できる。【情報分析力・創造的思考力・判断力】
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実践的スキル・表現の到達目標
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テーマに基づいて構想し、企画立案し、作品として形にすることができる。【表現力・創造力】
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「響学スパイラル」取り組み方法
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武蔵野大学が取り組む「響学スパイラル」を構成する4つの要素のうち、当授業には、「問う」(自らの問題意識に基づき、多様な思考で問いを設定し、自分事として向き合う)、「考動する」(問いに対して主体的かつ協働的に「考える」、「行動する」の双方を実施し、トライ&エラーを繰り返しながら知識を深め知恵を生み出す)、「カタチにする」(学んだ知識やスキルを成果としてカタチにすることで、他者と共有し伝える)、「見つめ直す」(アウトプットの成果を多角的に評価し、問題を明らかにして改善策を見出し、次なるアクション(問いから始まるスパイラル)につなげる)、いずれの要素も含まれています。
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授業における「アクティブな知」の要素
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授業形態
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対象
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A:課題解決型学習(PBL)企業、自治体等との連携あり
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B:課題解決型学習(PBL)連携なし
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C:反転授業(知識習得を授業外で行い、知識確認等の要素を教室で行う授業形態)
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D:討議(ディスカッション、ディベート等)
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E:グループワーク
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F:発表(プレゼンテーション)
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G:実習、フィールドワーク
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H:双方向授業(ICT活用なし:対話型、リアクションペーパー等)
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I:双方向授業(ICT活用あり:クリッカー、タブレット、スマートフォン等)
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J:講義のみ
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○
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授業における「ICTの活用」について
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授業形態
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対象
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A:ノートPC必携
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B:講義資料や授業教材のオンライン配信
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C:レポート課題等のオンライン提出
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○
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D:質問やレポート課題等へのフィードバックにおける学修管理システムの活用 (学修支援システム(Course Power)、Google Classroom、Teams等)
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E:オンラインメディアの活用 (e-Learning、edX、Coursera、JMOOC等のOpen Educational Resources)
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F:Zoom、Google Meet等のミーティングツールの活用
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予習 (事前学修)
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各授業
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指定した図書を読んで筋を把握すること。
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[
90
]分
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復習 (事後学修)
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各授業
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指定した図書を再読すること。
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[
90
]分
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成績評価
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評価項目
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評価項目の詳細内容
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割合
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課題提出(レポート)
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指定した図書を読んで考えたことを800字または1200字または2000字または4000字で書く。
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100
%
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小テスト
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0
%
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試験
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0
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実習・学外学修活動
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0
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その他
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0
%
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授業計画
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授業回
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内容
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1.
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「家庭用安心坑夫」小砂川チトを読む① 理解できない行動や状況を描くこと。理解とは何か。 予習、事前に読むこと。 復習、もう一度読むこと。
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2.
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「家庭用安心坑夫」小砂川チトを読む② 狂気が描く理性的な小説内小説。幻想が生む幻想が生む幻想の幻想。 予習、事前に読むこと。 復習、もう一度読むこと。
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3.
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「家庭用安心坑夫」小砂川チトを読む③ 現実と非現実のミックスジュース。ミックス丼とミックスジュースの違い。 予習、事前に読むこと。 復習、もう一度読むこと。
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4.
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「家庭用安心坑夫」小砂川チトを読む④ なにが書いてあったか、どのように書いてあったか、を読む。そのうえで、どう読むことができたか、について、幾つかある可能性を述べ、探る。 予習、各自がどう読んだかを文字に記す。 復習、読みに正解がないことを知り、創造的に読む。此の段階で出せるものがあればレポートを出す。此の時の世相はどんなだったか。時代の風潮とと新人の関係。
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5.
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「こちらあみ子」今村夏子を読む① 人間の感情の根本、感情の根源を描いて、安定的な日常を揺るがせ、甘美な「エモ」の実相を暴く。不安と不穏、人間が本来、動物であることを描く今村文学を知れ。感情の本燃。予習、事前に読むこと。復習、もう一度読むこと。
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6.
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「こちらあみ子」今村夏子を読む② 社会からはじかれてその外側にいるしかない人間の末路をどのような筆致で描くか。無人情の文学。どのような立場から描くか。視点と一言で言えぬ、えげつない無人情。 予習、事前に読むこと。 復習、もう一度読むこと。
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7.
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「こちらあみ子」今村夏子を読む③ 新人賞に応募して突破するためにはどうしたらよいか。傾向と対策の愚。新しい人が備えているべきもの。この時点で書きたいことがなくても書いて出す。
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8.
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詩を読む① 詩人とはどういう人間か。なにを書こうとしているか。どう書こうとしているか。直観していることはなにか。言葉の流行。「おもろい詩の四条件」について。 予習、事前に読む。 復習、もう一度読む。
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9.
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詩を読む② 「ライトゲージ」うるし山千尋を読む。詩の技巧。言葉が響くということ。「名辞以前の世界」とはなにか。名詞に感傷的個人的、割とどうでもよい意味を持たせる技法、その他の技法を読む。そのバックグラウンドで作動するOSとしての、作者の世界観を読む。 予習、事前に読む。 復習、詩を書いてみる。
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10.
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詩を読む③ 中原中也の「サーカス」「朝の歌」萩原朔太郎の「帰郷」「品川観艦式」などを創造的に読み、性格と人生と詩の関係を知り、腹痛による呻きと詩の間にあるものを探る。 予習、事前に読む。 復習、詩を書いてみる。
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11.
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詩を読む④ 詩を読み、書いて、その根底にあるものが、「かっこいい」もの、またそれとは真逆の、「腹立つもの」であることを知り、その浅薄なるを確認する。そしてそれに気がつかない「いい気」「いい気分」が詩にどんな肯定的な力を与えているかを知る。そのうえで詩を書きたくなれば書き、そして、それを他人に読んでもらいたいと思うか、思わないかを自ら確認し、読んでもらいたい場合はなんらかの方法で読んでもらう。 予習、詩を書く。 復習、詩を読む。
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12.
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「奈良へ」大山海を読む① わかるからわかるもの、わからないけどわかるもの、わからないからわからないもの、わからないからわかるもの、の違いを知る。現実と幻想を往還する物語をリアルに感得する。 予習、事前に読む。 復習、もう一度読む。
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13.
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「奈良へ」大山海を読む② 無能なヤンキー=どこにも生きられない魂、がなぜ遍歴するかを観じる。現実と幻想が侵蝕し合うことを知る。悲しみと憤りが、人間の中で人間性を中心にして押し合いへし合いしていることを知る。 予習、事前に読む。 復習、もう一度読む。
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14.
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「奈良へ」大山海を読む③ どこにも生きられない魂が美しさの欺瞞を暴き立てなければならなかったこと。重刷しなければならなかったものはなにか。同じく人工物でありながら印象が大きく異なる言葉、例えば友情と仁義、その懸隔を知り、その間を埋める魂の伸び縮みとしてのファンタジーを読み取る。偽りの美しさ、に対する憎悪の根源を読む。いまや多くの主題の無内容となったことを知る。 予習、事前に読む。 復習、なにを、どのように書いてあったか。自分はどのように読んだかを書く。
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留意事項
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教科書 (購入必要)
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参考図書 (任意購入)
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1.
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書籍名
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『家庭用安心坑夫』
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著者
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小砂川チト
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出版社
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講談社
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ISBN(13桁)
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978-4065288573
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参考図書に関する履修学生への連絡事項
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2.
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書籍名
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『こちらあみ子』
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著者
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今村夏子
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出版社
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ちくま文庫
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ISBN(13桁)
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978-4480431820
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参考図書に関する履修学生への連絡事項
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3.
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書籍名
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『ライトゲージ』
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著者
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うるし山千尋
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出版社
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七月堂
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ISBN(13桁)
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978-4879444769
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参考図書に関する履修学生への連絡事項
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4.
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書籍名
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『中原中也全詩集』
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著者
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中原中也
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出版社
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角川ソフィア文庫
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ISBN(13桁)
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978-4041171042
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参考図書に関する履修学生への連絡事項
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5.
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書籍名
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『奈良へ』
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著者
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大山海
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出版社
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リイド社
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ISBN(13桁)
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978-4845860913
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参考図書に関する履修学生への連絡事項
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その他 (配布教材等により購入不要)
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参考URL
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実務経験のある教員等による授業科目 (実践的教育を行う授業科目)
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実践的教育を行う授業科目の種別
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対象
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a.実務経験を有する担当教員による実践的な授業科目
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○
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担当教員の実務経験(経歴・資格等)
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1996年頃より、詩や小説を発表、1981年頃より音楽活動や映画出演の経験もある。
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授業内容との関連性
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実作を通じて知ったこと。書評や賞の選考を通じて知ったこと。
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b.企業や自治体等、学外から実務経験を有する講師を招いて行う授業科目
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学外講師の経歴・資格等
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授業内容との関連性
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c.企業や自治体等との連携により、学外でのインターンシップや実習、研修を行う授業科目
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実習先・実習の目的
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備考
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